和えるということ

株式会社 和える 代表取締役矢島 里佳さん

伝統産業の新しいカタチ。
それは、古き良き日本の伝統に、
現代を生きる私たちの感性を
「和える」こと。
矢島さんの生み出す
子ども向け伝統産業品は、
自然との関わり方や
私たちのこれからの暮らしについて、
確かなヒントを
教えてくれるかもしれません。

● プロフィール

日本の伝統を次世代につなぎたいという思いから大学時代に<株式会社 和える>を設立。職人の伝統技術を生かした、乳幼児と子ども向けの日用品を企画から販売まで手がけるほか、伝統産業の活性化をめざして講習会や各種メディアなどで幅広く活躍中。

「和える」に込められた物事の本質 「和える」に込められた物事の本質

 「和える、という社名は、私自身がやろうとしていることなんです。物事の本質を見極めて、それらを引き出し“和える”ということ。“混ぜる”ではなく“和える”なのです」。
 素材の味を大切にする和食を見れば、“和える”と“混ぜる”という言葉の、本質的な意味の違いが分かります。伝統を引き継いだ職人の磨き抜かれた技を生かしながら、現代を生きる私たちのライフスタイルに合わせたものを創造すること。
それは、自然とどう向き合うか、そして、どう暮らしていくか、という私たちへのメッセージにほかなりません。
 「私は、モノだけでなく文化を生み出したいと思っています。そのために、良いものをどう見極めるか、どう和えるかをつねに考えています。納得がいくまでに時間はかかりますが、モノづくりの技術がない私は“和える”ことを極めて、和える職人になりたいと思っています」。その真剣な眼差しからは固い決意を感じました。

東京都から
江戸更紗の おでかけ前掛け

江戸更紗の職人が染め上げた生地と、
波佐見焼の職人が作ったボタンでできた、
赤ちゃんの一張羅です。

徳島県から
本藍染の タオル

藍には、紫外線カットや、保温効果があり、
赤ちゃんの肌を守り、包むのに適しています。
職人が約30回、繰り返し丁寧に手で染めています。

徳島県から
大谷焼の こぼしにくい器

内側に「返し」を付けることで、
食べ物がスプーンにのりやく、
すくいやすい器です。

人の心を動かし成長を促すモノづくり 人の心を動かし成長を促すモノづくり

 伝統産業だから良いモノといっても、簡単に人の心には響きませんし、その良さも伝わりません。伝統産業にまだ興味がない人たちにこそ、魅力を感じてもらえるモノを生み出すことが大切であり、それを伝えていくことが“和える”のモノづくり。
「まず子どもたちにとって使いやすいか、感性をくすぐるか、共に育つか、を考えます。そして、なぜ身近にそれがないのか理由まで探究します」
 職人の手仕事は一生ものだから、飽きのこないシンプルなデザインのほうがいいとのこと。幼い頃からホンモノに触れることで、モノを大切にする気持ちや愛着が生まれるのかもしれません。

 「感性が豊かな赤ちゃんや子どもたちこそ、もっともお目の高いお客様なのです」と矢島さん。子どもは、好き嫌いなどの自分の気持ちを素直に表現します。その純粋さが、モノの良し悪しを大人に教えてくれるのです。
 そんなaeruの想いは、職人の方々にやりがいと喜びをもたらし、日本のモノづくりをより一層高めていくことでしょう。

ひまりの取材後記

 取材のために東京・目黒にあるaeruの直営店aeru meguroに訪れたのは、まだ蝉がせわしなく鳴く夏の日の終わり。インタビューを終え、ふと目についた“和紙のボール”を手に取ると、初めて見るのになぜか懐かしさがこみ上げてきました。中に入っている鈴の音が涼しげに鳴り響き、和紙のやわらかな手触りが心地よく、和紙が破れても漉き直しの修理ができるという心遣いこそ、伝統産業ならではの、モノを大切にする心だとあらためて感じました。
 伝統産業は、自然と寄り添って生きてきた先人たちの知恵と技術の結晶。その中にある自然の恵みが子どもを育み、大人を癒し、そして、社会を、地球を守っていくのだろうなと、思わずにはいられませんでした。
 お店を出ると同時に、耳に飛び込んできた蝉の声と街の喧騒が、私を現実の世界に呼び戻しました。

写真提供:株式会社和える

SHOP INFORMATION

aeru meguro

東京都品川区上大崎3-10-50
シード花房山S+105

aeruの商品にいつでも出逢え触れられる場所としてオープンした和える初の直営店。
「第6回キッズデザイン賞」で審査委員長特別賞を受賞した「徳島県から 本藍染の 出産祝いセット」をはじめ、全国の伝統産業の職人さんが心を込めて手がけたオリジナル商品の数々が並びます。
日本文化に触れるイベントも定期的に開催されています。

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aeru meguro

和える -aeru-

伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家

「日本の宝物に、なんで大人たちは気づかないんだろう?」
業界の常識を打ち破った、若手ベンチャー経営者の挑戦記

出版社 : 早川書房

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