日常を表現するということ。

日菓(にっか)杉山 早陽子さん 内田 美奈子さん

和菓子に息づく雅な世界。
それは日本の四季や
自然の情景を愛おしみ、
自然と寄り添って生きていた
昔の人々の暮らしの形。
そこに現代の日常というエッセンスを
注いだ日菓のお二人。
彼女たちの新しい和菓子の世界から
今よりもっと心豊かになれる
暮らしのヒントが見えてきました。

● プロフィール

「日々のお菓子」「毎日食べたいお菓子」という想いを込めて、和菓子文化の新しい楽しみ方を提案する創作和菓子ユニット<日菓>。
工房での月二回の店頭販売「月一日菓店」をはじめ、ギャラリーやカフェでのワークショップ、著書の出版など、京都を拠点に幅広く活躍中。

一冊の本に導かれた運命の出逢い 一冊の本に導かれた運命の出逢い

 内田さんは大学を出てから二年ほど東京の出版社に勤めていました。その頃、資料として手に取った『和の菓子』という本。
「レシピや茶道の紹介ではなく、和菓子に焦点をあてた本は他にはありませんでした」。
作品として完成された和菓子の姿に衝撃を受けた内田さんは、和菓子職人を目指して一念発起。会社を辞めて京都へ移りました。
 一方、大学時代、写真部に所属していた杉山さんは、表現することの楽しさを感じていました。その時、内田さんと同じ『和の菓子』を見て、その凝縮された表現力に感銘を受けたそうです。「和菓子には可能性がある」そう感じた杉山さんは、京都の老舗和菓子店に就職。販売を担当するかたわらで職人を目指していました。
「なかなか売れない商品があって。私は好きだったんですけどね。」ある日、それを一度にたくさん買ったお客さんがいました。若い女性だっただけに強く印象に残っていたそうです。
「それが彼女(内田さん)だったんです。後日、入社していたことを知りました」。
偶然というよりも、むしろ運命を感じる二人の出会い。同じ想いで和菓子の世界に飛び込んだ二人が親しくなるのにそれほど時間は必要ありませんでした。同じ和菓子店で働きながら、日菓の結成に向けて想いはひとつになっていきました。

50グラムに込められた世界 50グラムに込められた世界

 和菓子といってもさまざまにあります。饅頭や大福は身近に感じられますが、お供え菓子や茶道などのお菓子は、私たちにはあまり馴染みがありません。
「年配の方が食べるものというイメージが強かったですね」と笑う内田さん。でも、と続けます。
「たった50グラムの小さなものに日本の四季が表現されているんです。そこに吹く風や匂いまでも感じられるなんて…」。
確かに和菓子の意匠(デザイン)は自然の情景が表され、季節感を意識したものが多いと感じます。「身の回りに今ほど物がなかったからでしょうね」と杉山さん。「例えば、着物の柄も植物など自然をモチーフにしたものは多いんです」。昔の人は自然のささやかな情景を身近に感じていたからこそ、それを愛し表現する暮らしを心から楽しんでいたのでしょう。
 また、お二人の思う和菓子の魅力は“食べもの”ということ。
「作品として鑑賞できるのに、食べられるんですよ。そこが面白い」。
 知るほどに、強く惹かれていった和菓子の世界。その魅力を多くの方に伝えたいという二人の夢が、日菓の礎となっています。

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